先祖を祀る

お写経のすすめ

東光院萩の寺住職 村山廣甫

宗旨宗派を問わず、一字一仏の功徳あり

お写経とは、お経を書き写すことです。お経は“ほとけのこころ・おしえ"ですから、お写経するのは、“ほとけを写す"修行にほかなりません。法華経の法師品に「経典を写経すれば、よく大願を成就す」とあり、さらに写経観念文には、お写経の功徳によって極楽往生ができるとさえ書かれています。いわゆる写経成仏(しゃきょうじょうぶつ)の教えです。

思うに、経文を写すことは、写経する私たちの身と心に“ほとけのこころ・おしえ”を移すことです。したがって、お写経とは、筆と墨と紙を縁にして、 “ほとけのこころ・おしえ”を私たちの身心に書き移す願いの実践にほかなりません。お写経が、仏舎利(ぶっしゃり)(釈尊の遺骨)に対して、法舎利(ほうしゃり)として尊ばれるゆえんです。

このように仏教実践の一つとしてのお写経は、先人の知恵にふれ、人生を豊かにするとともに、身心を鍛え、書を美しくします。さらに、その書き写したものを霊場やお墓に納めて、自らの実践を示すとともに、その浄行を回向(えこう)すれば、功徳は広大無辺といわれます。つまり、お写経は、各人の祈りや願い、ご先祖の供養のために、宗旨・宗派を問わないで、誰でもが行える仏道修行なのです。

わが国におけるお写経の歴史は古く、天武天皇の白鳳二年(六七三年)三月に、川原寺で一切経を写させたのがその始まりといわれています。また、お写経することによって、天下の大疫(弘法大師や旱魃(かんばつ)(菅原道真)、水害(後奈良帝)や暴風雨(田能村竹田)(たのむらちくでん)などに計り知れないおかげが現れたことが記録されており、以降、修行や先祖供養、病気平癒やその他の願いや祈りを目的とした、個人的なお写経が始められて、今日に至っています。

現代に生きる私たちは、お写経することによって、身と心を整えて静かに落ち着いた時間を大切にするとともに、心の安らぎや大きな心の支えをもって、祈りや願いを生活の中に生かしていく一つの証としたいものです。『般若心経(はんにゃしんぎょう)』や『延命十句観音経(えんめいじゅっくかんのんぎょう)』は、短い経典であるにもかかわらず、仏教の大意が述べられています。書写もしやすく、お写経にはもっとも適切であるといえるでしょう。

合掌
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